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電気工事士が現場で使うケーブルは、大きく分けてCV・VVF・CVTなど10種類以上ある。用途を間違えると法令違反になる。この記事では種類・用途・選び方を一覧で解説する。
電気工事士が知るべきケーブルの基礎知識
ケーブルと電線は別物だ。
ケーブルは絶縁体+シースで覆われた構造を持つ。
電線は絶縁体のみ、またはむき出しの導体を指す。
電気工事士として現場に出ると、この違いを即答できないと恥ずかしい。
ケーブルの選定ミスは施工不良・火災の原因になる。
まずは主要な分類を押さえよう。
ケーブルの大分類3つ
🔧 おすすめ工具
| 分類 | 代表例 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 低圧ケーブル | VVF・VVR・VCT | 住宅・一般設備 |
| 高圧ケーブル | CV・CVT・CVQ | 工場・ビル幹線 |
| 特殊ケーブル | MI・EM・EEF | 耐熱・耐火・省エネ |
低圧は600V以下、高圧は6,600Vが代表的な電圧区分だ。
第一種電気工事士でないと高圧ケーブルは扱えない。
資格区分と対応ケーブルは必ずセットで覚えておこう。
詳しくは電気技術者試験センター(公式)でも確認できる。
VVFケーブル|住宅工事で最も使う定番品
VVFは「ビニル絶縁ビニルシースフラットケーブル」の略だ。
断面が平らな形状が特徴で、住宅配線の約80%はこれを使う。
価格は1.6mm×2心で100mあたり約8,000〜12,000円が相場だ。
VVFの主なサイズと用途
| サイズ | 許容電流 | 用途 |
|---|---|---|
| 1.6mm×2心 | 27A | コンセント・照明回路 |
| 2.0mm×2心 | 35A | エアコン専用回路 |
| 2.6mm×2心 | 48A | IHクッキングヒーター |
| 1.6mm×3心 | 27A | 3路スイッチ回路 |
18年の経験から言うと、新築一戸建て1棟で使うVVFの量は平均で600〜800mにもなる。
色分けは黒・白・赤で心線を識別する。
電気工事士試験でも最頻出のケーブルだ。
VVFの施工では専用のケーブルストリッパーが必須だ。
圧着ペンチの選び方と使い方|電気工事士が教えるサイズ別活用術と合わせて道具を揃えておきたい。
VVRケーブル|丸型で引き込みに強い
VVRは「ビニル絶縁ビニルシースラウンドケーブル」の略だ。
VVFと電気的性能は同じだが、断面が丸い。
管の中を通す場合や引き込み口での使用に向いている。
VVFとVVRの選び分け基準
- 露出配線・壁内配線 → VVF(コスト安・作業しやすい)
- 電線管通線・引き込み → VVR(丸型で管内を滑りやすい)
- 屋外露出 → VVRかEM-EEF推奨(耐候性が必要)
実際に私が現場で経験した話をする。
築35年のマンション改修工事で既設の電線管にVVFを通そうとしたことがある。
管の曲がりが急すぎて通線できず、VVRに変更したら30分で解決した。
形状の違いが現場では大きな差を生む。
CVケーブル|工場・ビル幹線の主力
CVは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略だ。
最高使用温度が90℃と高く、長距離送電に強い。
主に高圧・低圧の幹線として工場・ビルで使われる。
CVの主な規格と用途
| 型番 | 構造 | 用途 |
|---|---|---|
| CV(単心) | 1心 | 高圧引込・幹線 |
| CVT | 単心3本よりあわせ | 3相幹線・高圧引込 |
| CVQ | 4心一括シース | 低圧4線式回路 |
| CV-T(トリプレックス) | 3心一括シース | 低圧3相幹線 |
CVとCVTはよく混同される。
CVは単心1本、CVTは単心3本をよりあわせたものだ。
CVTは可とう性が高く、ケーブルラックへの敷設に向いている。
22sqのCVTは1mあたり約1,200〜1,800円が相場だ。
CVTとCVの違い|現場で使い分ける3つのポイント
1. 施工性の違い
CVTは単心3本がよってあるため曲げやすい。
ラック配線・ケーブルトレイでの敷設作業が格段に楽だ。
一方CVは剛性が高く、直線区間の長い地中配線に向いている。
2. コストの違い
同じ導体断面積ならCVTのほうが約10〜15%高い。
施工工数を考えるとトータルコストはほぼ同等になることが多い。
長距離・直線区間ならCV、短距離・曲がり多ならCVTを選ぶのが実務の基本だ。
3. 接続方法の違い
CVTは3心を個別に末端処理できる。
CVは一括端末処理が必要で、専用の端末処理材が要る。
高圧CVの端末処理には1セット約5,000〜15,000円の部材コストがかかる。
VCTケーブル|移動用・可とう性が命
VCTは「ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル」の略だ。
心線が細い撚り線で構成されており、繰り返し曲げに強い。
電動工具の電源コード・仮設電源として広く使われる。
VCTが選ばれる主な場面
- 仮設分電盤からの電源引き回し
- 電動工具・溶接機への電源供給
- 移動式クレーン・工場内移動機器
- イベント・仮設電気設備
VCTは固定配線には使えない。
内線規程でも「移動用」として区分されている。
現場での使い分けを間違えると検査で指摘される。
現場の電源管理には電気工事士が使う電工ドラムの選び方|15m・30m・50mの使い分けの知識も必要だ。VCTとドラムはセットで理解したい。
EM-EEFケーブル|2026年の主流はエコ電線
EM-EEFは「エコマテリアル耐燃性ポリエチレン絶縁ノンハロゲンシースケーブル」だ。
燃焼時に塩化水素ガスを発生しないノンハロゲン素材を使う。
公共施設・学校・病院での採用が急増している。
EM-EEFとVVFの比較
| 項目 | VVF | EM-EEF |
|---|---|---|
| 価格(100m) | 約8,000〜12,000円 | 約10,000〜15,000円 |
| 燃焼時のガス | 塩化水素あり | ノンハロゲン |
| 硬さ | 柔軟 | やや硬い |
| 主な用途 | 住宅・一般建築 | 公共施設・官公庁 |
2026年現在、官公庁の新築工事仕様書では「EM-EEF指定」が標準になりつつある。
価格差はVVFの約1.2〜1.5倍程度だ。
民間でも積極採用が進んでいる。
MIケーブル|超高温環境で唯一使えるケーブル
MIは「Mineral Insulated Cable(無機絶縁ケーブル)」だ。
絶縁体に酸化マグネシウムを使い、250〜650℃の環境でも使用できる。
価格は通常のケーブルの5〜10倍と高価だが代替品がない。
MIケーブルが必要な場面
- 製鉄所・ガラス工場の高温炉周辺
- 火災時も機能維持が必要な消防設備配線
- 原子力施設の放射線環境下
- 屋外の超高温・超低温環境
ケーブル選定の実務チェックリスト
18年の経験から言うと、ケーブル選定ミスの原因は8割が「確認不足」だ。
以下のチェックリストを現場に持ち込んでほしい。
現場でのケーブル選定チェックリスト
- □ 電圧区分(低圧600V以下 / 高圧6,600V)の確認
- □ 設置場所(屋内 / 屋外 / 地中 / 水中)の確認
- □ 固定か移動かの確認
- □ 負荷電流と許容電流の照合
- □ 使用温度範囲の確認(通常は60〜90℃)
- □ 仕様書・設計図のケーブル種別指定の確認
- □ 防火区画貫通の有無確認
防火区画を貫通する場合は、耐火ケーブルまたは耐熱ケーブルが必要になる。
FP-C(耐火ケーブル)やHP(耐熱ケーブル)との区別も覚えておきたい。
電線管への収納と合わせて電気工事士が知っておくべき電線管の種類と施工方法の違いも参考にしてほしい。
ケーブル別の主要メーカーと価格帯まとめ
| ケーブル種 | 主要メーカー | 価格目安 |
|---|---|---|
| VVF 1.6×2C | フジクラ・住友・古河 | 100mで約8,000〜12,000円 |
| CVT 22sq | 住友電工・フジクラ | 1mで約1,200〜1,800円 |
| VCT 2.0×3C | フジクラ・矢崎 | 1mで約300〜500円 |
| EM-EEF 1.6×2C | 古河電工・フジクラ | 100mで約10,000〜15,000円 |
資材価格は銅相場によって毎月変動する。
2026年は銅価格の高騰が続いており、2023年比で約15〜20%高い水準だ。
見積時は必ず最新の仕入れ価格で計算することを習慣にしよう。
工事の精度を上げるには工具の選定も重要だ。
プロの電気工事士が愛用する工具と道具|現役18年が教えるこだわり7選も合わせて読んでほしい。
ケーブル選定を誤ると起きる3つのリスク
リスク1:絶縁破壊による火災
許容電流を超えた選定をすると、絶縁体が溶けて発火する。
住宅火災の原因の約20%は電気系統の不具合だ(消防庁2025年統計)。
電流値の計算は必ず設計段階で確認する。
リスク2:電技解釈違反による是正
電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)はケーブル種別を明確に定めている。
例えば地中埋設には直埋用ケーブル(CV-S等)が必要だ。
VVFを直埋すると電技解釈第120条違反になる。
是正指示が来ると全部やり直しになる。費用は数十万円になることもある。
リスク3:保険・瑕疵担保責任の問題
施工後に適切でないケーブルが判明した場合、施工業者の責任となる。
瑕疵担保期間(工事完成後10年が目安)内は責任を問われる。
ケーブル選定の記録は工事完了後も保管しておくべきだ。